特長

今日の経済制度(貨幣制度)には、資本主義経済と社会主義(共産主義)経済があります。前者は私的(個人的)所有であり、後者は社会的(国家的)所有です。

 

共同所有貨幣制度は、この両者の特徴を併せ持ちます。すなわち、貨幣を、個人的所有物として使うことも出来ますし、国家的所有物として使うことも出来るようにします。
これを、貨幣が循環する構造を作ることによって実現します。

 

こうすることによって、共同所有貨幣制度は、国の財源確保のための税の徴収や国債の発行を永遠に不要にします。
国は、財源にまったく困らずに必要なところへ必要な財政支出を速やかにできるようになります。

 

それゆえ、所得の再分配も容易にできるようになります。
無税なので、税の公平性をめぐる悩みからも解放されます。

 

また、このように社会主義的であるにもかかわらず、共同所有貨幣制度は、個人(国民)の自由な経済活動をこれまでと同様に保障します。さらには、所得税や法人税、消費税といった税負担をなくします。

 

基本的な仕組み

共同所有貨幣制度の基本的な仕組みを説明いたします。

 

共同所有貨幣制度は、経済の土台である貨幣制度のみを変えるものです。経済社会には、貨幣以外に人や物の動きがありますが、これらは貨幣制度の上に乗っているものとして、今は考えず、ここでは貨幣制度のみを考えます。

 

※ 今現在の経済社会をベースにこれを考えますと、頭の中が混乱してしまいますので、いったん今の社会制度はすべて忘れて、最初に貨幣制度を設計し直すつもりでお考えください。

 

共同所有貨幣制度は、貨幣の循環を土台とします。

 

例えば、4人の人がいたとします。
AさんがBさんから物を買ってお金をBさんに渡します。
BさんがCさんから物を買ってお金をCさんに渡します。
CさんがDさんから物を買ってお金をDさんに渡します。
DさんがAさんから物を買ってお金をAさんに渡します。
Aさんはまた再びBさんから物を買ってお金をBさんに渡します。
Bさんはまた再びCさんから物を買ってお金をCさんに渡します。
・・・
こうしますと、お金はぐるぐる回って、みんなが永遠に買うことが出来ます。

 

この仕組みは、売買関係のみで出来たループなので可能になります。
お金の量は変わりません。でも、みんなの生活を永遠に支えられます。

 

もし、この中の誰かが物を買わずにお金を誰にも渡さなかったら、
お金は市中(市場)から消えて、すべての人が生活できなくなってしまいます。

 

ですから、お金は常に循環していなければなりません。
少なくとも、生活を支える最小限のお金は常に循環していなければなりません。
そしてまた、生活できる最小限のお金をすべての人が常に持っている必要があります。

 

そして、ある人は、複数の人から物を買う場合もあるでしょう。
売る人も複数の人に売る場合があります。
売買金額もそれぞれ違います。
また、人数も4人ではなく限りなく大きいとします。人だけでなく、法人も含めます。

 

売買金額は、取引ごとに違いますが、それぞれの取引において、売る金額と買う金額は必ず一致しています。
社会がどんなに大きくなったとしても、売った金額の合計と買った金額の合計は同じです。
そして、社会がどんなに大きくなったとしても、売買関係のみで出来たループの中をお金が隅々まで循環することによって、すべての人の生活を永遠に支えることが出来ます。

 

 

ここに政府と銀行を入れます。
銀行への入金を、政府発行の有価証券を購入するという形にします。
(あるいは、有価証券の代わりにデジタル通貨を使うという方法もあると思います。)
その逆の銀行からの出金は、この有価証券の政府への売り返却です。
この有価証券は、他者に転売できないものであり、現在の銀行の預金通帳がそのままこの役目を果たします。
通帳の残高が有価証券の額になります。

 

こうしますと、銀行に入金されたお金はすべて政府のお金になります。人々や企業は、所持金を、使うまでの間、一時的に銀行に預けておくので、政府の口座にお金がプールされるでしょう。
しかし、預金の入出金は今まで通りに出来ます。
銀行への入出金を売買関係に含めるわけです。

 

次に、政府の財政支出も売買関係の一つです。
また、政府がお金を無償支給する場合も売買関係の一つと考えられます。
政府が支出したお金は、市中(市場)で購買などに使われながら、最終的に利益になった人が銀行に入金します。すなわち、お金は政府に還流します。こうして、政府の口座は常に満たされることになり、不足は生じないことになります。

 

この経済体制を取りますと、お金は政府と国民の間を循環し、政府は借金も徴税もせずに、財政支出が出来るようになります。
それと同時に、個人の経済活動も、これまでと同様に行うことが出来ます。

 

ここまでが基本的な仕組みです。

 

 

さて、ここまで考えてきた段階で、現在の社会を見てみます。
世の中に出回っているお金の総額は現状のとおりです。
銀行の預金残高も、国庫金残高になりますが、総額は現状の通りです。

 

変更すべきは、銀行への入出金を、政府発行の有価証券の購入・売り返却にするところだけです。
そうすることで、お金は政府と国民の間を循環し、政府は借金も徴税もせずに、財政支出が出来るようになります。

 

また、国民が銀行に預金することをはじめとするお金を使う普段の経済生活は、今までと何も変わりません。
お金の貸し借りや投資、銀行の信用創造も、基本的に今までと変わらず、することが出来ます。銀行の信用創造は、これまでと同様、預金者から入金された現金を「本源的預金」として行います。

 

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